そんなところに原因が!メタルソー切断機のセンサー修理

今回の修理は、村橋製作所のメタルソー切断機。中島氏によると、どうやら「リミットスイッチ」に問題があり(これは数日前に調査済)部品を調達できたので交換修理をするとのこと。さっそくカメラ片手に取材させていただきました。

 

 

今回のターゲットとご対面

 

今回の機械は、村橋製作所製のメタルソー切断機。実はこの「村橋製作所」という会社はすでに無いので、実際に機械に取り付けられていた「リミットスイッチ」と同じもの(市販品)を取り寄せていました。

工場の中はNC旋盤やマシニングなどが所せましと並んでいますが、社長曰く「長さが決まったネジを加工するときは、切断機で部材を一定の大きさに切りそろえておくと、加工時間が早い」とのこと。

というわけで、「早く直してよ」というご要望でした。

 

実際にターゲットとなる機械はこちら。村橋製作所製の「GREAT CAPTAIN」を改造したものです。

<リミットスイッチの交換を始めようとする中島氏>

 

 

リミットスイッチは交換したけれど

 

さて、今回の中島氏。リミットスイッチの交換はサクッと終わったようです。

<新旧2つのリミットスイッチ>

 

が、なぜか「ルーチン通りの動き」をしない、GREAT CAPTAIN。あれれ?ということでいろいろ調べてみることにしました。

 

中島氏によると、「GREAT CAPTAIN」は、切断する機構を持つ機械のことで、見た目は一体型に見えますが、実際にそこへ部材を送り込んでいる部分はあとから改造されたもの。そもそもこの機械を製造したメーカーもすでに無いですし、いつ誰が改造したかも分かりません。つまりこの機械への修理は、「いつも手探り」なのだそうです。

 

 

リレー方式?シーケンサー方式?

 

そもそもこの機械、部材を送り込む部分は「シーケンサー方式」という仕組みで電気制御されています。しかし10年ほど前までは、「リレー方式」という仕組みになっていたそうです。

中島氏は、現在の「シーケンサー方式」を見慣れているとのことですが、どうやら今回の修理は、この辺に問題があるのでは?とのこと。そこで中島氏は、機械と会話を始めました。

 

シーケンサー上の配線をいろいろ変えてみながら動作確認をくり返しますが、なかなか思うような組み合わせがありません。そもそも、誰でもが簡単に触れるものでも無いため、いつの間にか配線が変わるということも考えにくいようです。

 

…と、中島氏はあることに気付きました。

 

一応動くけど、決められた動きをしない?

 

先ほど交換した「リミットスイッチ」、このセンサー部分が取り付けられている部分に、もう一つの小さなセンサーのようなものがありました。しかし、「普通ならこの辺にある」というポイントから、少し位置がズレていたことに気付きました。

「もしかして、これ?」と、もう一つの小さなセンサーを数センチほどずらしてみました。

 

すると…なんと、本来の動きが!

 

問題はここかー!!

 

今回の修理は、「リミットスイッチ」も反応が悪くなっていましたので、新しいものに交換しました。さらにもう一つのセンサーの一がズレてしまっていたので、それを元通りの位置に固定するという、2段階の修理となりました。

では、なぜ「もう一つのセンサー」の一がズレていたのか。それは、お客様の方で「掃除したときにちょっとズレた?」ということだったようです。

しかし中島氏によると「これも、よくあること」なのだとか。

「そんな気は無いけど、ぶつけてしまって壊れた」とか「ちょっと振動を与えたら動かなくなった」ということは、こうした工作機械に限らず、日常でもよくありますよね。今回はこうしたことが原因で、「一応動くけど、くり返し同じ動作をしない」というものでした。

それでもお客様のご要望通り「以前と同じ動き」ができるようになりましたので、今回の修理は終了です。お疲れさまでした!

 

今回のお客様はこんなところ

<小林製作所>

この機械も結構古いからね。直ってくれたのは良かった。ウチにあるNCとかでも長い部材からの加工はできなくは無いけど、やっぱり時間がかかる。必要な長さに切断しておくと、加工もやりやすいし時間も断然違う。だから無いと困る機械なんだよね。

 

魔物が棲むNC旋盤!?一筋縄ではいかないギアの修理-後編-

今回は、中村留製のNC旋盤の修理、後編です。

RPGでいう「ラスボス」のような存在感を放つ今回の修理箇所、「軸およびシュパンリング」は、修理開始から数日後、やっとその全貌をあらわしました。

 

 

「軸」に食いついてしまった「シュパンリング」

 

修理1日目は椿ワークスが取材できましたが、その後の模様は、相馬氏から送られてくる写真とコメントが頼り。3日目の午後、相馬氏から「ギアが外れました!」とのことで、写真とコメントが送られてきました。

 

問題となった「軸」と「シュパンリング」の全貌です。

 

<軸とシュパンリングの位置関係>

 

<シュパンリングが入ったギアを取り外したところ>

 

 

なぜ軸に「食い込んでしまった」のか

 

実際のところ、軸からシュパンリングが組み込まれたギアを取り外すためには、かなりの工夫が必要だったようです。中島氏はこの辺りを想定していたからか、予め「特注部品(工具)」も発注していました(詳しくは、前編の一番下の画像を参照)。

では、なぜ「取り外すのが難しい」ものだったのか。その理由は大きく2つありました。

1つは、軸はもともと「テーパー」という形状であることです。直線ではなく、わずかですが両端の太さが違いますから、その上にリングを通した場合、ある程度のところまでくると自然に止まります。しかし想定外の力などが加わると、リングは軸に食い込んでしまいます。これが「食いついた」という表現になっていました。

もう1つは、軸とシュパンリングの間に、潤滑剤である「オイル」が無くなっていたことです。工作機械の中の部品は、一部の電気系統を除くと金属でできているものがほとんどですから、それぞれのすき間にはオイルなどの潤滑剤があります。これが無くなると金属同士で摩擦が起こり、上手く動かなくなってしまうのです。しかも、この機械はすでに30年以上稼働しています。メンテナンスを行う時にも「中を開けてオイルを足す」という箇所でも無いので、自然と「オイル切れ」を起こしてしまっていたのでした。

 

今回のケースでは、

1.ギアに必要以上の力がかかり、シュパンリングを押し込んでしまったこと

2.本来あるはずの「オイル」がなくなり、ギアが動かなくなってしまったこと

この2つが原因で、NC旋盤本来の動作ができなくなっていました。

 

 

本来の動作に戻すために

 

シュパンリングとは、ギアの内側につけられた「リング」のことです。本来、ギアにフタをして抑えると、このリング自体が内外に膨らむようになっており、ギアが軸にしっかりと固定されるという仕組みです。

 

ここで、シュパンリングの動きを整理してみます(後日、中島氏に詳しく教えてもらったことは、とりあえずナイショです)。

 

<シュパンリングの本来の動き>

※本当はもっと複雑ですが、分かりやすく簡略化してます(実は、ここまでしか理解できない…)

本来なら、上のイメージ図の中にある「実質的な軸が通るスペース」は少しスキマが空いていて、潤滑剤であるオイルがあるはずです。しかし実際のシュパンリングと軸との間にはスキマが無く、オイルも乾いてしまっていました。

今回の修理では、軸に食いついてしまったシュパンリングをギアごと外すことができましたので、もう1つの問題である「オイル」を解決する必要があります。

 

上の写真でも分かるとおり、軸もピカピカですし、シュパンリングもキレイに乾いてしまっています。

中島氏と相馬氏は、ここにたっぷりとオイルを補充したそうです。

 

 

さて、今回の修理。作業を始めたときは「ラスボスにたどり着くためのRPGみたい」と思ってしまいましたが、RPGと違うのは「ラスボスを倒したから終わりでは無い」ということ。

 

つまり、数日かけて分解したNC旋盤、組み立てにもそれなりに時間がかかったわけです。

最後はお客様に動作確認をしていただき、修理は完了です。

 

お疲れさまでした!

 

今回のお客様はこんなところ

 

<有限会社 相原製作所>

〒343-0115 埼玉県北葛飾郡松伏町大字上赤岩1683

TEL:048-991-8984

 

<お客様の声>

 

今回の修理は「大がかり」というか、中島君も手探りではあるようだね。やっぱり時間もかかったし、どうなるかなと思ったけど、直って良かった。機械が動くようになるのは、助かります。

 

魔物が棲むNC旋盤!?一筋縄ではいかないギアの修理-前編-

今回は、中村留製のNC旋盤の修理です。

NC旋盤の修理…は中島氏の修理実績の中でも多い方なのですが、今回は中島氏も初の大がかりな修理になるだろうとのこと。「多分、1日では終わらない」という予測通り、実に一週間近くかかった修理となりました。

 

 

まずはNC旋盤とご対面

 

今回の修理は、ケーエスアイにとっても古くからのお客様、埼玉県松伏町の相原製作所様です。実は、今月の初めにも別の機械の修理(面取り旋盤「メントリー」チャック爪の交換)で取材させていただきました。

今回はまた別の機械、NC旋盤の修理です。

事前に中島氏に聞いたところ、「NC旋盤の奥の方、ターレットの軸の部分にはまっている部品(後に「シュパンリング」というものであることが分かりました)が、軸に食いついている」とのこと。

 

軸に食いつくって何???

 

という疑問符を浮かべながら相原製作所様に着くと、中島氏は機械と会話していました。

<機械と会話する中島氏>

 

工場の入口近く、先日写真を撮らせて頂いたNC旋盤が今回修理する機械なのですが、ちょっと大掛かりになるので人手が欲しいことと、せっかくNC旋盤の内部構造も見られることから、相馬氏も一緒に修理するのだそうです。

 

 

初めて見るNC旋盤の内部機構は、疑問がいっぱい

 

それでは!と、私もNC旋盤の中の覗き込んでみました。が…

軸ってどこ?どこが「食いついて」いるの?

表側と裏側の両方から覗き込んでも、まったくもって分かりません。

それは何故か。

答えは、「普段、人の目に触れることのない、ずっと奥の方にある機構だから」です。

<表側と裏側から修理箇所の周囲を眺めたところ>

 

何でしょう、この「今回の修理箇所」に漂う、ラスボス感

修理箇所(=ラスボス)までたどり着くために、

さまざま困難(=必要な箇所の分解)を乗り超えなくてはならず、

そしてしっかり修理しないと(=ラスボスを倒さないと)終わらない、今回の修理。

私自身はそれほどRPGが好きというわけではありませんが、頭の中にはついつい、こんなイメージが浮かびました。

この時点ではまだ、修理すべき箇所がどこなのかまったく見えませんし、実際の形や大きさも想像できませんでした。それゆえに「RPGでいうところのラスボス?」というイメージが浮かんできたのです。

 

 

慎重かつ丁寧に、悩みながら機械を分解

 

中島氏と相馬氏は、見えている部品や電気系統の配線などを、一つずつ外していきます。もちろん、表側からだけでは外すことができず、裏側に回って内部の構造を確認しながら、慎重に作業を進めます。

<NC旋盤の内部構造をくまなく確認しながら分解していく中島氏>

 

しかし、今回の修理は非常に手のかかる修理です。1日目も日が暮れようかというころ、やっと修理箇所の全体を覆っている、カバーが外れました。

<NC旋盤内部を分解、カバーを外したところ>

 

 

なんですと!?そうなのか。これは確かに大がかりだ。

実は翌日と翌々日、私は取材に同行させていただくことができなかったので、相馬氏に写真を撮ってもらいながら、状況を教えてもらいました。

私が行けなかった間、お客様の高速切断機をお借りしたり、工場内の手動の切断機をお借りしたりしながら、必要な工具もその場で作りつつ、作業を進めていたそうです。

 

<作業行程のダイジェスト>

 

今回のケースのように、出張修理人たちは単に「部品交換します」とするのではなく、

  ●どこがオカシイ?

  ●どのような使われ方をしている?

こうしたことをお客様と相談しながら、そして機械たちとも会話しながら、集中力と発想力で解決していきます。

 

修理開始から数日後、やっと全貌が見えてきました。

 

この続きは、後編で!

なぜ根元からバッキリと?面取旋盤のチャック爪交換

今回は、高松機械製メントリーの「チャック爪交換」です。機械全体の大きさはそれほど大きなものではありませんが、面取り加工を行う専用の旋盤です。チャック爪ってちょっと変わった形をしていますが、そもそも何のためにあるのかを聞きながら、修理に同行させてもらいました。

 

 

面取り旋盤だから「メントリー」

 

今回の修理は、ケーエスアイにとっても古くからのお客様、埼玉県松伏町の相原製作所様です。私実は、15年ほど前にもこちらの工場にお伺いしたことがあります。その時に社長さんにお会いしたのですが、第一印象が「大きい人だなぁ」だったということはナイショです。

 

修理の予定が決まったとき、中島氏からは「高松機械のメントリーのチャック爪交換」と聞いていました。

はて?「メントリー」という名称は初めて聞いたような気がする。試しにWebで検索してみると、ありました!

 

面取り旋盤 メントリー

 

…え?

うーん、「初めて聞いた人にも伝わりやすいネーミング」と言えなくもない?

機械の名称に若干の衝撃を受けながらお客様の工場に到着し、実際のメントリーと初めてのご対面。

<高松機械工業製 メントリー T850K>

 

今回は、機械の一番後ろの「チャック機構」にある「チャック爪」を交換するということです。

 

 

「チャック爪」とは、そもそも何をするものか

 

中島氏は早速、チャック機構を分解し始めます。

<チャック爪を取り外したところ>

 

チャック爪は2本で1セットなのですが、そもそもどのような働きをするものなのでしょうか。中島氏に聞いてみました。

 

 

 

 

<チャック爪からの力の伝わり方>

なるほど!この変わった形状には、そういう意味があったのか!

ふむふむ…と一人で分かった気になっている横で、中島氏は新しいチャック爪と交換していきます。

<新しいチャック爪を取り付けていく中島氏>

 

 

チャック爪は何故折れたのか

 

さて、取り外したチャック爪をみると、2本のうち1本が固定用のネジ穴の部分でバッキリと折れています。

その理由を中島氏に聞いてみました。理由はいくつかあるようですが、今回は以下の2つの理由が考えられるそうです。

 

まず1つは、経年変化によるもの。チャック爪の先端には、ぎゅーっと押し付けるような力がかかります。ちょうど、頭の上においた壺を下から持ち上げるようなものなので、どうしてもその根元には力がかかります。これをくり返すことで根元が脆くなっていたのかもしれません。

 

もう1つは、必要以上の力をチャック爪にかけてしまったこと。チャック爪は根元の穴に短い棒を通すような形で固定されていますので、必要以上に力を加えると、先端方向へ力が逃げなくなってしまい、根本にも圧力がかかってしまいます。もしかすると、チャック爪全体の中でもこの「穴」の部分は金属が少なくなっているため、折れてしまったのかもしれません。

 

そんな話をしているうちに社長さんが様子を見に来られたので、動作確認をしていただきました。

<中島氏と社長さんとで動作確認をしているところ>

 

今回の修理はこれで完了です。お疲れさまでした!

 

 

ついでと言ってはナンですが、工場の中を見学

 

修理を終えた中島氏は、さっさと次のお客様のところへ行ってしまったのですが、社長さんが工場の中を案内してくださいました。

工場の中には、NC旋盤が10台以上、ターレット式旋盤2台、6軸加工機などの大型機械、現在は使用されていない機械が数台など、たくさんの工作機械がずらりと並んでいます。

これまでにも「取材」という名目でいくつかの工場にうかがいましたが、初めてみたものがあります。これ ↓

<NC旋盤の中から自動的に切子を排出するコンベアー>

 

それから、かつて中島氏が「改造した」という、今井機械製のターレット旋盤もありました。これ ↓

<38型ターレット式旋盤の改造部分>

 

ここは元々こういう形の「ボタン」では無かったそうですが、より使いやすいようにと中島氏が設計して、改造したのだそうです。

へぇ、ウチはそんなこともできるのか。と、自社を見直した1日でした。

 

 

今回のお客様はこんなところ

<有限会社 相原製作所>

〒343-0115 埼玉県北葛飾郡松伏町大字上赤岩1683

TEL:048-991-8984

うちとケーエスアイさんは先代からの付き合いだから、結構長いよね。実際、ケーエスアイさん経由で導入した機械もありますし、中島君に改造してもらったものもあります。工作機械の修理は自分たちでやることもあるけど、中島君の拠点はウチからもそう遠くないから、何かあったときにすぐに来てくれるのは助かるかな。朝一番で来てくれると、もっと助かるけどね(笑)

 

 

NC旋盤 ポンプ取り付け台もグレードアップが必要です

今日の修理は、中村留製のNC旋盤 SC-200 のポンプ取り付け台の交換とポンプ位置の調整です。実はこの数日前、ポンプ自体も交換していました。今回はポンプを固定する「取り付け台」を交換します。

 

 

工場の奥深くに置かれたNC旋盤

 

NC旋盤自体を動かすポンプの下には、それを取りつけるための台となる部品があり、ポンプは新しいけどこの「台」の部品は古いまま、という状態。しかし交換したポンプがパワーアップしたものだったため、古い「台」では少しガタが来るとのこと。そこで新しいポンプに合わせた「台」を発注し、交換することになりました。

さて、実際に交換作業が必要なNC旋盤は…工場の一番奥のスペースにありました。

このNC旋盤、壁際に設置されており、すぐ横にはバーフィーダーも置かれているため、作業用のスペースがあまりありません。大丈夫なのか?

…そうだね。数日前に「ポンプ」自体を交換しているなら、大丈夫か。

というわけで、中島氏がNC旋盤の裏側に入り込む様子を激写。

<NC旋盤の裏側のスペースに入り込む中島氏>

 

 

 

今回交換するパーツはコレ

 

さて、実際にどこを交換するのか?と思いながら覗き込んでみると…

え?そこ?手が入るような場所なの?

<機械の裏側 交換する部分>

 

しかし機械の脇に胡坐をかいて座り込んだ中島氏は、サクサクと作業を進めていきます。

途中、いったん「旧」を取り外したところで、「新」と並べてみました。

<交換したポンプのサイズに合わせて少し大きくなった「取り付け台」>

 

キレイさ…はともかく、確かに少しですが大きさも違います。

でも、どうしてこれを交換することになったの?

というわけで、今度は新しい「台」のパーツを、ポンプの下に設置していきます。

しかし、中島氏の手元は狭くて暗い。作業用のライトの光を頼りに、パーツと床面とをネジで固定していきます。

 

<モーター下の「取り付け台」が新しくなったところ>

 

 

配電盤を開けて何するの?

 

さて、モーターのパーツ交換が終わったところで、中島氏は同じNC旋盤の配電盤の扉を開けて何やら作業を始めました。

<配電盤の扉を開けて作業を始める中島氏>

 

どうやら、この中にあるパーツを1点、交換する必要があるようです。

配電盤の中は初めてみましたが、すごい数のケーブル!!

さすがにここの写真は撮れませんでしたが、色とりどりのケーブルが無数に収まっています。どこに何がどうつながっているのか、私にはさっぱりわかりません。交換するパーツも、どこに埋まっているのやら。

しかし中島氏は、悩むことなく、正確に目的のパーツを取り外して交換していきました。

 

さて、今回の修理は中島氏だけかといえば、そうではありません。ちゃんと相馬氏も中島氏の助手として作業していました。ただ、裏側が狭くて入っていけないので、必然的に作業は中島氏がメインで進めた、という状況のようです。

<SC-200の前に立つ相馬氏>

 

今回のお客様はこんなところ

<有限会社 渡辺精工>

〒132-0025 東京都江戸川区松江1丁目11‐10

TEL:03-3654-2220

さまざまな精密機器部品を製作している工場で、製作したバルブ製品は医療機器、建設機械、電車や新幹線(内装)などに使用されています。

ケーエスアイさんとは、先代の頃からの長い付き合いかな。うちにあるNC旋盤たちは全部中村留製だし、これらを導入したのも全部ケーエスアイさん経由なんだよね。中島君はターレットやボール盤も修理やパーツ交換をしてくれるし、ちょっと調子が悪くなったらすぐに来てもらえるのは良いよね。近いからというのもあるけど、ウチがどんな加工をしているのかも分かっているから、お願いしやすいんだよね。

 

 

 

NC旋盤 ポンプ交換のその後に

機械の動作が止まる――。これは、工作機械を使って製品をつくる側にとって、業務が止まってしまうことを意味します。だからこそ中島氏のような「出張修理人」があちこちの工場を回って、「止まる」原因を調べたり、機械を調整したり、部品交換などの「修理」をしたりすることになります。

しかし、実際に工場に伺うと、「止まる」という症状が無くなってしまうケースも多々あります。今回はそんなケースです。

 

 

 

今日もNC旋盤の裏側での作業です

 

実はこの前日、中島氏は同じ機械に対し、別の修理(ポンプの交換)を行っていました。今日はそことは別の部分を修理する予定です。

今日の機械は中村留のTMC-20。製造年月が昭和63年4月となっていますので、30年以上現役で活躍している機械のようです。

そして、今日も「機械の裏側」をじっくりと見せていただくことができました。しかし…表から見ても複雑ですが、裏側ってホントに何がどうしてどうなっているのか、私にはまったく分かりません。

<修理対象の機械を裏側からみたところ>

 

この黄色い点線で囲った中に、今回修理するパーツが含まれているようです。

 

 

ターゲットは近接スイッチ

さて今回の中島氏、ターゲットとなる近接スイッチを見つけ出し、その周りにエアーを吹きかけながらキレイにしていきます。そして見つかった近接スイッチを、「コレだよ」とみせてくれました。

<今回のターゲット 近接スイッチ>

 

しかし、これを交換するのかといえばそうでもなく、どうやらゴミや水を吹き飛ばして、動作確認をするようです。…何で?

…と思ったけれども、実際には「よくあること」らしい。

そもそも「動作が止まった」状況を正確に再現することは難しいですし、「止まる」原因もたくさんあるため、いくつかの原因が複雑に絡み合って「結果的に止まる」こともあるのだそうです。

そして今回、中島氏が問題ではないかと考えたこのスイッチ、良く見ると金属の破片や油などの「ゴミ」が付着していました。これを掃除しただけでも「止まる原因」を取り除いたことになるかもしれない、とのことです。

 

 

動作確認をお客様とともに

今回お邪魔した「三和製作所」さまは、10台以上の大型工作機械があるような工場です。ご兄弟で経営されていますが、もちろん、他にも職人さんがたくさんいらっしゃいます。

今回はこの機械をよく使用されているという、弟さんの方に機械の動作確認をお願いしました。

<お客様とともに動作確認中>

 

実際に私もそばで見せていただきましたが…やっぱり「止まる」ことなく動いています。

10分ほどすぐそばで見せていただきましたが、1つずつが小さいからなのか、1分足らずで加工されたものが次々と出てきます。

 

<NC旋盤での加工が終わって排出される完成品>

 

うーん、確かに問題なく動いているように見えます。

ちなみに、昨日修理したのはこちら。

<NC旋盤本体の裏側にあるポンプ>

 

今回は「止まる」という症状が見られなくなったので、ひとまずはこのまま様子をみていただくことになりました。

 

 

今回のお客様はこんなところ

<有限会社 三和製作所>

〒341-0037 埼玉県三郷市高州3丁目26-4

TEL:048-948-2981

三和製作所様は、精密金属加工を得意とされる工場です。ここでつくられた製品は、自動車や産業ロボットなどのほか、医療機器の中にも使われています。大型の加工機械が10台以上ありますが、中には「自分たちで考案してメーカーに作ってもらった機械」もあります。メーカーの本拠地である石川県まで何度も出向き、つくり上げた機械なのだそうです。

今までは、機械の調子が悪くなるとメーカーにお願いしたり、簡単なところなら自分たちで何とかしたりしてきたんだよね。でも、中には「どこが悪いのか」が分からないものもあるので、連絡するとすぐに調べに来てくれるのは良いよね。今回初めてお願いしたけど、これからもどこか調子が悪くなったら相談しようかと思ってます。

 

 

一つ止まればみな止まる?!コンプレッサーの基盤交換

今日の修理は、「油圧式コンプレッサー CLP37B-8.5D」の2回目です。

前回、「コンプレッサーが止まった!」というご連絡を受け、中島氏が調査およびとりあえずの応急処置をしてきました今回は、メーカーに発注していた基板が届いたので、これを交換することになりました。

 

応急処置をした油圧式コンプレッサー スイッチも交換?

 

今日の修理はまず、コンプレッサーの正面にあるスイッチをランプの交換からスタートです。

実はこのコンプレッサー、電源ランプ、ドライヤのアラームランプ、電源スイッチ、ドライヤスイッチの4つが基板からつながっており、これが正面にあります。このうち、ドライヤのアラームランプが割れてしまっていましたので、交換です。


<交換したランプとスイッチたち>

 

いよいよ、基板2枚を交換

 

まずは1枚目。こちらの基板からは、マグネットスイッチと圧力スイッチへの配線が接続されていたようです。

基板を交換しつつ、応急処置前の「本来の接続」につなぎ変えていきます。

<応急処置と本来の配線 模式図>

 

あれ?でも、前回の応急処置って、3週間くらい前だったような気が…。

すると中島氏は、おもむろに自分のスマホを取り出します。

<「本来のつなぎ方」の写真を確認する中島氏>

 

中島氏は、最初にこのコンプレッサーの修理にうかがった際に、配線を変える前、つまり「本来のつなぎ方」の写真を撮って残していました。

今回の修理に限ったことではありませんが、基板とその先にある構造(今回はスイッチ)との間には、複数の色のケーブルでつながっています。このケーブル(正確には導線を覆っている絶縁体)の色が重要なのだそうです。

 

ひぇー!それは大変!

私もかつてはデスクトップのパソコンを組み立てたりもしたけど、ケーブルのつなぎ替えまではやらなかったなぁ。「電気」って文明の利器ではあるけど、使い方を間違えると結構大変なことになるし、やっぱりよく分かっている人に修理してもらう方が安全、ということなのか。

と、考えながら見ていると、1枚目の基板交換が終了。続いて2枚目の基板交換です。

こちらも以前に撮って残しておいた写真を見ながら、慎重に交換していきます。

 

<通常の2倍のケーブルたち>

 

修理は完了?お客様と一緒に動作確認

 

2枚の基板を交換し、ケーブルを整理したところで試運転です。お客様にブレーカーを操作していただき、中島氏がコンプレッサーのスイッチをON!

Buooooooon という音と共にコンプレッサーが起動!

修理の間は工作機械たちがお休みしていたので、工場内のあちこちにぶら下がっている「ハンディタイプのエアガン」を使って、圧縮空気がちゃんと届いていることを確認していただきました。

それからもう一つ。コンプレッサーに使われている「エアドライヤー」という仕組みがありますが、こちらも動作確認です。とはいえ、確認する方法は「エアドライヤーが動く音がするかどうか」ということ。

コンプレッサーを動かしてしばらくすると ブシュー! という音がしました。この音がエアドライヤーがちゃんと動作している音なのだそうです。

「圧縮空気を送る」という機能と、「圧縮空気の中から水分を取り除く」という2つの機能が動くことを確認し、今日の修理は完了です。

 

お疲れさまでした!!

 

今回のお客様はこんなところ

 

【長田螺子製作所】
〒131-0041 東京都墨田区八広6丁目36?8
TEL:03-3612-6455

先代の頃から螺子を作り続けて50年以上、さまざまな形状の螺子の製造から二次加工まで、あらゆる「螺子」に対応しています。

【お客様の声】

中島さんがウチに初めて来たのは、15年くらい前、ウチが3台目のNC旋盤を入れた時かな。当時はまだ入社したばかりだったらしいけど、しばらくしたら一人でも修理しに来てくれるようになったと思う。

今回は、電話したらすぐに来てくれたので助かった。機械は動いてくれないと仕事にならないから、すぐに来てくれるのは良いよね。

一つ止まれば全部止まる?!コンプレッサーの調査

今日の修理は、「油圧式コンプレッサー CLP37B-8.5D」です。

しかしよくよく聞いてみると、実は2日前の土曜日、中島氏は

「コンプレッサーが止まった!」

という連絡をいただき、点検と修理(応急処置だけど)にうかがっていたらしい。今日は「実際にどこが悪いのか」を確認しにいくとのことなので、同行させてもらうことにしました。

 

油圧式コンプレッサーは工場全部の工作機械につながっている?

 

さて、事前に修理する機械について少しだけ話を聞いていたのですが、油圧式…は何となく分かるけど(油圧式で上下するイスとかあるし…)、はて「コンプレッサー」とは?圧縮する何か、であるとは思うけれど…

ためしに、Wikipediaで「圧縮機」を検索してみました。

 

圧縮機(あっしゅくき)とは羽根車若しくはロータの回転運動又はピストンの往復運動によって気体を圧送する機械のことである。コンプレッサーともいう。

引用:Wikipediaより

 

と考えているうちにお客様の工場に着いたので、コンプレッサーとご対面。

<コンプレッサーと、その脇でメーカーの資料を確認する中島氏>

 

工場の入口を入ってすぐのところにあるこの機械が、コンプレッサーだそうです。中島氏と相馬氏が先に到着していたので、すでにフロントカバーが外されており、中をじっくり見ることができました。

これまでもいくつかのお客様の工場にうかがいましたが、工場の中にはらせん状のチューブの先に、ハンディ式のエアガンのようなものが繋がっており、そこから勢いよく空気が出てきます。今回の修理は、このエアガンから出てくる「圧縮空気」をつくり出す機械、ということは分かりました。

 

何故止まったの?原因を確認する

 

実はこのお客様、土曜日も作業をされている中で急にコンプレッサーが止まってしまい、他の工作機械も動かなくなってしまったとのこと。お客様から電話をいただいた中島氏は、すぐにこの機械を点検にきています。しかしその時は、「これが動かないと、つながっている工作機械が全部動かない」という状態だったため、応急処置として配線をつなぎ変えていました。

 

<配線の模式図>

 

土曜日に中島氏が調べたところ、どうやら電源から基板を通ってくる電気が、マグネットスイッチや圧力スイッチまで届いていなかった模様。さらに時間をかけて調べれば原因を突き止めることができたかもしれませんが、お客様として「他の機械が動かない」ことが一番困っていることでした。

そのため、電源から基板を通さず、直接マグネットスイッチを経由し、圧力スイッチへと通電するようにしていました。

と、ここで1つ疑問が。

 

そうなのか!それは確かに困る!

コンプレッサーからの圧縮空気が通る配管をたどってみると、NC旋盤やバーフィーダーなどにつながっています。ということは、これらの工作機械が動かなくなってしまうということになるので、「とりあえずの応急処置」がどうしても必要だったわけです。

 

工場の隅っこに置かれているコンプレッサー。実は工作機械の大半を稼働させる、縁の下の力持ち的な機械だったということが、私にもよく分かりました(エアガンの親玉とか言ってしまい、申し訳ない…)。

そして中島氏がもう一度すべての配線をたどりながら通電しているかどうかをチェックしたところ、ケーブルには問題無さそうですが…なぜか基板は2枚あります。

<メーカーのWebサイトを見ながら、基板をチェックする中島氏>

 

中島氏は、メーカーに電話で問い合わせたりしながらチェックしていきますが、やはり問題は「基板」にあったようです。しかし、基板となるとさすがに予備はありませんので、取り寄せをすることになります。

というわけで、今日の修理(というより点検)はここでおしまいです。とりあえずの応急処置ではありますが、コンプレッサーとしての役割は果たせるようになりましたので、工作機械たちは稼働できるようになりました。

<基板の型番をチェックする中島氏>

 

しっかりと修理を完了させるためには、注文した基盤が届いてからの「リベンジ」が必要、ということになりました。

 

今回のお客様はこんなところ

<長田螺子製作所>

〒131-0041 東京都墨田区八広6丁目36−8

TEL:03-3612-6455

先代の頃から螺子を作り続けて50年以上、さまざまな形状の螺子の製造から二次加工まで、あらゆる「螺子」に対応しています。

 

【お客様の声】

ケーエスアイは、先代の社長のときから付き合いがあって。NC旋盤を購入したり、修理してもらったり。

今の社長になってしばらくしてから、「工作機械の修理」を始めたんじゃないかな。ウチにはいくつかの工作機械があるけど、何かあったらすぐ来てくれるのは助かるよね。ウチにある古い機械ですでにメーカーが辞めてしまったものもあるので、中島さんと相談して自分で部品を作って修理、ということもあります。

扱いを間違えるととても危険?シャーリングの調整

ベンディングロールの調整に続き、今度は工場の奥に設置された、「シャーリングの刃の調整」です。
前回おうかがいした時、工場の方は

「金属の板を切断すると、一部にかなりの【バリ】が出る」

と仰っていました。中島氏の見立てによると、「刃の固定がわずかにゆがんでいるため、金属の板をささえている部分とのスキマが均一になっていない」とのこと。今回はここを調整します。

 

シャーリングの調整前の下準備

 

さて、本日も「シャーリング」とご対面。しかし、大きいなぁ…。万が一動いているときに手を出したりすると、とんでもない大惨事になることは明らかです。

中島氏と相馬氏は、ちょうど良い位置に「刃を固定している箇所」が来るように、丁寧かつ慎重に作業を進めていきます。

<「刃を固定している構造」を合わせているところ>

 

ところでこの機械、けっこう年季が入っているように見えますが…少なくとも40年以上は稼働している機械ということが分かりました。機械操作の注意書きが貼りつけられていますが、こんな感じです。

<取り付けらている注意書きのプレート>

 

こういう仮名遣い、今では見ませんよね。昭和50年代くらいまでに作られた工作機械には、今でもこうした仮名遣いのものが取り付けられているのだそうです。

 

刃を固定するネジたちをゆるめていく作業

 

中島氏と相馬氏は機械の裏側に回り、シャーリングの刃を固定しているネジたちを少しずつゆるめていきます。裏側はとても暗いので、相馬氏が照らすライトがなければ手元が見えません。なかなかのチームプレーです。

<相馬氏が中島氏の手元を照らしているところ>

 

ところで、なぜ新聞紙が挟まっているのでしょうか?
それは、お客様から「新聞紙位のスキマを開けておいてね」というオーダーがあったからです。
現在の問題は「部分的にひどいバリができる」こと。つまり、板を置く台の1辺と刃とのスキマが、平行ではないことが問題のようです。

でも、「刃が平行でないこと」と「バリができる」ことの間に、どのような問題が???

中島氏に聞いてみました。つまりこういうことのようです。

 

 

<刃が平行でないとどうなるか>

 

というわけで、「刃を固定しているネジ」の締め具合を調整する必要があります。まずは「ちょうど良く」締め直すために、一度すべてのネジとナットを、少しずつゆるめていきました。

 

「押し」と「引き」で固定しているネジ

 

さて、ゆるめているネジを良く見ると、ネジの頭部分が見えているものと、ナット部分だけが見えているものがあります。なぜ???

なるほど!両方からの力で、このとても重たい「刃」を固定しているわけか!

このシャーリングは、4.5mmまでの金属の板を切断できる機械のようです。刃の動きは、上からまっすぐスパーンと落ちてくるのではなく、正面右から正面左の方向へ、斜めに刃が下りていきます。最初に刃が下りてくる部分と後から刃が下りてくる部分には、わずかですが時間差ができます。

固い材質や厚みのあるものを切断し続けていると、後から刃が下りてくる方に負荷がかかり、板を支える台と刃との間にスキマができてくるのだそうです。すると今回のように「部分的にひどいバリができる」ということになります。

こうした機械は時々、刃を固定しているネジを締め直し、「押し」と「引き」との力の強さを調整していく必要がある、ということでした。

 

「新聞紙1枚分のスキマ」を維持するのは難しい?

 

何度か、全体のネジとナットの締め具合を調整し、全体的に

「だいたい新聞紙1枚分のスキマ」

をつくることができました。ただものすごく厳密にいうと、すべてを平行にし、絶対に動かないように固定するのは難しいのだそうです。

シャーリングの刃は簡単に交換できるものではありません。また、切断する金属板の材質や形状によっては、刃にかかる負荷は均一ではありませんので、使用しているうちにわずかな「ゆがみ」が生じます。固定するネジにも負荷がかかり、締め具合にも変化が生じたりしてしまうのだそうです。

ということを、シャーリングをよく使う工場の方に説明しつつ、ためしに金属の板を切断するところも、見せていただきました。

スパーンと金属の板が切断されるところは圧巻!

切断面を見ながら、これくらいは大丈夫!」というお墨付きをいただき、今日の修理(というより調整)は終了です。

 

今回のお客様はこんなところ

 

<名和工業 株式会社>

〒132-0025 東京都江戸川区松江6丁目4-21

TEL:03-3653-7491

集塵機・空調ダクトの製作から、取付工事、塗装工事、配管工事、足場工事まで、大規模工場内の「ダクト」に関することならあらゆる行程に対応している工場です。いわゆる「設備」に関する部分に対応しているため、お客様の施設に合わせた設計から一貫して対応しています。

工作機械の奥は深い!ベンディングロールのモロモロを修理 その2

今日は、前回に続いての作業です。
前回、ベンディングローラーの「オイル漏れ」の修理を行いましたが、この機械、実はほんの少しだけ置かれている床面が傾いています。今回はその部分を調整します。
それからもう一つ、工場奥に置かれた「シャーリング」という鉄板を切断する機械。こちらも取り付けられている「刃」が均等になっていないため、「刃」を固定している部分を調整することになりました。

 

ベンディングローラーを持ち上げる!まずは準備から。

 

今日は、中島氏と相馬氏のコンビとともに、お客様の工場へうかがいました。
工場に着くと、前回のお約束通り、お客様の方で機械の下に差し込むための「小さく切った金属の板」を用意してくださっていました。

<お客様の方でご用意いただいたプレートたち>

 

大きさは15㎝×15㎝程度、厚さがいろいろあります。今回はこれを使って、ベンディングローラーを水平になるように調整していきます。

まずは、油圧式のジャッキで、機械を持ち上げる用意をします。

<ジャッキを用意する中島氏>

 

とはいえ、そもそもこの機械「ジャッキで持ち上げられること」を想定して製造されているわけではありませんし、ジャッキ側にも機械の下に挿入する部分には1.5~2㎝ほどの厚みがあります。中島氏と相馬氏が協力し、ジャッキが挿入できるように部分的に分解しながら、作業を進めます。

今回のベンディングロールは、わずかではありますが下の写真でいうと「向かって左側が低い」状態になっています。この「ゆがみ」を正すために、ベンディングロールの下側の4か所にそれぞれ、適度なプレートを挟み込んでいきます。

<プレートを挟み込む位置を確認しているところ>

 

あれ?持ちあがらない?

 

準備ができたので、さて「ジャッキ」で機械を持ち上げようか、としましたが、なぜか動きません。よく見ると、機械と床面に置かれている鉄板との間に、5㎝ほどですが溶接されている箇所があります。
これではさすがに「ジャッキ」だけで機械を持ち上げることはできないため、工場内の機械を使って「溶断」していただきました。

<ベンディングローラーと床面(鉄板)との境目を溶断しているところ>

 

今度こそ、「ジャッキ」でベンディングローラーを持ち上げていきます。…しかし、これは一体、何トンくらいの重さがあるのでしょうか。
中島氏は、慎重にジャッキを操作しながら、少しずつ持ち上げていきます。2㎝程度持ち上げたところで、ほうきをお借りして、スキマからベンディングローラーの下を掃除し、いよいよ小さなプレートを挟み込んでいきます。

<ジャッキで持ち上げたスキマにプレートを挟み込んでいくところ>

 

 

幸い、厚いものから薄いものまで、いくつかの種類のプレートを用意していただいていたので、何枚か組み合わせながらぴったりと挟み込んでいきました。

 

水平に近づいたことと、機械の動作を確認

 

ベンディングローラーの下に合計4か所、小さなプレートを挟み込むことで機械は固定できました。少し精度の高い「水平器」で全体の水平度を確認したところ、ベンディングを行う部分が目視では分からない程度、ごくわずかではありますが、「ゆがみ」が生じているようです。

<経年変化による機械そのものの「ゆがみ>

 

ただこれも、床面(機械の「足」の高さ)がほぼ水平になったことで、だんだんと「なじみ」が生じてくるのだそうです。これは、このベンディングロールだけではなく、どのような機械でも同じことが言えます。

何十年も稼働しているような機械には、目視では分からない程度、通常の稼働には影響が出ない程度の「ゆがみ」が生じることがあるのだそうです。

 

…確かに、金属加工を行うような機械は、機械そのものに非常に重量がありますし、構造によっては何十年もその重量に耐えている部分もあるわけで。大きな機械ほどこうした変化は起こるのかもしれません。

 

中島氏たち修理人は、故障した機械の部品交換だけではなく、こうした「機械のゆがみ」を調整することもできます。スゴイ!

 

さて本日の作業、これで終わりではありません。もう一つの大物機械、「シャーリングの刃の位置の調整」が残っています。この様子は、次の記事で!

 

今回のお客様はこんなところ

 

<名和工業 株式会社>

〒132-0025 東京都江戸川区松江6丁目4-21

TEL:03-3653-7491

集塵機・空調ダクトの製作から、取付工事、塗装工事、配管工事、足場工事まで、大規模工場内の「ダクト」に関することならあらゆる行程に対応している工場です。いわゆる「設備」に関する部分に対応しているため、お客様の施設に合わせた設計から一貫して対応しています。