新しい工作機械がやってきた!搬入までの道のり

少し前のお話しなのですが…
株式会社ケーエスアイでの対面打合せの際、ずっと以前からのお客様の工場に、新しい工作機械が搬入されるとの情報が!

しかしながら、取材に行きたいのはヤマヤマな椿さん、今回もやはりスケジュール的に行けそうにありません。

というわけで、今回も中島氏に自ら写真を撮ってもらい、後からその顛末をじっくり聞いてみることにしました。

 

搬入先は同じ区内のお客様

 

今回、新しい工作機械を購入されたのは、以前も修理記事の取材でお世話になった、株式会社土屋商会様(以下、土屋商会様)です。

古くても大丈夫!マシニングセンターのサーボモーター交換 を参照)

 

土屋商会様では、

●仕事が増えてきた

●さらに増やしたい

●それにはもう少し馬力のある小型の旋盤加工の自動化が必要

という状況があったとのこと。

 

実は、ほぼ同じ仕様の工作機械はありました。しかし、20年選手の機械であり、「そういえば、設置場所もあるよな」ということで、この度、もっとがんばって働いてもらうために、最新式のNC旋盤を入れることになりました。

 

今回のNC旋盤は、北村製作所製の KNC-20G という機械。

 

<今回の新しい工作機械 KNC-20G>

 

「クシ刃旋盤」と呼ばれるシリーズで、小型(省スペース型)でありながら、高剛性・高精度を誇る機械なのだそうです。

土屋商会様は今回、「よし、これ買おう!」と決断されてから、別の機械屋さん(商社)からも見積を取り寄せていました(土屋商会様の社長さんは、とても顔が広いのです…)。

一方の弊社は、修理もしますが「商社としての顔」もありますので、いろいろとご要望をうかがいつつ、お見積りを出しました。

 

が!なんと!弊社からのお見積りがちょびっとだけ高かった!

 

 

『機械を売る』商社は数多くあれど…

 

ではなぜ、土屋商会様は弊社を選んでくれたのか。

それは一重に

 

普段から修理やメンテで工場内の全機械の面倒を見てくれているから

 

でした!そして、中島氏や弊社社員の「人柄もだよー」と仰ってくれました!

これぞまさしく、エコ贔屓(笑)

 

かくして、「KNC-20Gの購入は株式会社ケーエスアイから」となり、あれよあれよという間に話が進みました。

設置場所はどうするか?電源はどこから?ほかの機械の移動は必要?など、中島氏も忙しくなります。

そしてやっと、搬入の日を迎えました。

 

 

『新しい工作機械』は、いつ見ても美しい…

 

さて、搬入当日。弊社からは中島氏ともう一人の新入社員君が立ち会いました。

当たり前のことではありますが、輸送時の事故(機械が倒れるとか傷つくとか)を避けるための丁寧な梱包と固定。慣れている人にしかできない職人技ではないでしょうか。

土屋商会様は、同じ区内の住宅街の中にありますので、周りには普通のお宅もたくさんあります。工場前の道は交通量が多いわけではありませんが、それほど広い道路でもありませんので、慎重に運び込んでいきます。

 

<機械を運び込む様子>

 

そして予定通りの場所に設置が終わると、今度はメーカーの方が来て調整し、試運転も行いました。

それを横から見ていた中島氏。

メーカーの方が帰られた後、機械に話しかけてました(笑)

 

<機械と会話する中島氏>

 

イタリア製もお任せ!2ロール転造盤の主軸交換

株式会社ケーエスアイでは、週に1回、対面での打合せをしています。6月最初の打合せのとき、中島氏から「来週あたり、イタリア製の工作機械の修理があるよ」という話がありました。

うーむ。椿さん、取材に行きたいのはヤマヤマなのですが、スケジュール的に行けそうにありません。

というわけで、今回も中島氏に自ら写真を撮ってもらい、後から修理の概要説明を受けることにしました。

 

中島氏、イタリア製の工作機械とご対面

 

今回の修理先は、自社からほど近い墨田区。
こちらのお客様の工場には、Made in Japan の工作機械もありますが、今回の修理対象は「イタリアORT社製 2ロール転造盤」です。

最初、お客様から連絡をいただいたときに「主軸がボッキリ折れた」とうかがったそうです。

中島氏はこのとき、

 

 

と考えたそうです。そりゃそうですよね。国内メーカーでも、発注すると数日以上かかりますし、「今から取りに行きます!」というのも難しい距離です(海を渡るし…)。

しかし、お客様は今すぐにでも修理をご希望の様子。よくよく聞いてみると、この機械は以前にも同じ個所の修理をしたことがあるとのこと。その時の教訓からか、「主軸はいずれ折れるもの。それなら予備を持っておこう」ということになり、新品の主軸をお持ちなのだそうです。

修理箇所は分かりましたが、ひとまずは詳しく確認しないと。というわけで中島氏は早速、お客様の工場を訪問しました。

 

 

主軸以外にも交換すべき箇所を発見

 

さて、中島氏はお客様の工場に到着すると、さっそく機械と会話しながら修理箇所を念入りに調べます。

<ボッキリ折れてしまった主軸を確認しているところ>

 

主軸が折れているのは、すぐに分かりました。理由は金属疲労。そして、前受けがヘタってしまったことも関係しているようです。

さらに、いろいろ調べてみると、どうやらベアリングもダメになっている様子。これはまとめて修理しないと、きちんと動かすことは難しそうです。中島氏はすぐに、新品のベアリングを手配します。

 

 

いよいよ、壊れたパーツを交換

 

数日後、中島氏は届いたベアリングをもって、再びお客様の工場へ向かいました。

まずは機械を分解しながら、交換するパーツ(主軸、ベアリング)をどんどん取り外していきます。

<折れてしまった主軸を取り外したところ>

 

……しかし、こんなに太くて頑丈な金属の棒が、これほどボッキリと折れてしまうって、どれだけ無理な力がかかったのでしょうか。日本製とかイタリア製とか関係なく、やはり金属を加工する工作機械って、ものすごいパワーが出るものなんですね。以前、別のお客様のところでも「ボッキリ折れた軸」を見たことがありますが、その時と同様、ちょっと恐ろしい気がしてきます。

この機械は2ロール転造盤なので、加工している間は常に、ここともう1本の主軸に振動や圧力が加わっていますから、ある程度の年数が経てば必ず「金属疲労」は起こります。結果、今回のように「ボッキリ」と折れてしまうのだそうです。

 

さて、主軸が外れたら、今度はベアリングです。取り外したベアリングと新品を、並べてみました。違いが分かりますか?

<新旧のベアリング>

 

ベアリング交換が終わったら、今度はいよいよ新しい主軸を機械に取り付けていきます。

<新品の主軸>

 

後は元通り組み立てて試運転して……のはずなのですが、組立はそれほど簡単ではなかったそうです。

イタリア製だから、というわけではなく、主軸がなかなか入っていきません。元々、かなりみっちりと嵌っているパーツではありますが、今回は中島氏一人で修理にうかがっていたこともあり、押し込む力は一人分しかありません。新しい主軸を傷つけないよう慎重に扱いながら、最後は少しずつ叩きながら入れたのだそうです。

さて、元通り組み立てが終わったところで、お客様に協力していただきながら、試運転。動き、音、振動など特に問題もなく、元通り動くことを確認して、今回の修理は完了です。

 

今日もまた、お疲れ様でした!

NC旋盤 ポンプ交換のその後に

機械の動作が止まる――。これは、工作機械を使って製品をつくる側にとって、業務が止まってしまうことを意味します。だからこそ中島氏のような「出張修理人」があちこちの工場を回って、「止まる」原因を調べたり、機械を調整したり、部品交換などの「修理」をしたりすることになります。

しかし、実際に工場に伺うと、「止まる」という症状が無くなってしまうケースも多々あります。今回はそんなケースです。

 

 

 

今日もNC旋盤の裏側での作業です

 

実はこの前日、中島氏は同じ機械に対し、別の修理(ポンプの交換)を行っていました。今日はそことは別の部分を修理する予定です。

今日の機械は中村留のTMC-20。製造年月が昭和63年4月となっていますので、30年以上現役で活躍している機械のようです。

そして、今日も「機械の裏側」をじっくりと見せていただくことができました。しかし…表から見ても複雑ですが、裏側ってホントに何がどうしてどうなっているのか、私にはまったく分かりません。

<修理対象の機械を裏側からみたところ>

 

この黄色い点線で囲った中に、今回修理するパーツが含まれているようです。

 

 

ターゲットは近接スイッチ

さて今回の中島氏、ターゲットとなる近接スイッチを見つけ出し、その周りにエアーを吹きかけながらキレイにしていきます。そして見つかった近接スイッチを、「コレだよ」とみせてくれました。

<今回のターゲット 近接スイッチ>

 

しかし、これを交換するのかといえばそうでもなく、どうやらゴミや水を吹き飛ばして、動作確認をするようです。…何で?

…と思ったけれども、実際には「よくあること」らしい。

そもそも「動作が止まった」状況を正確に再現することは難しいですし、「止まる」原因もたくさんあるため、いくつかの原因が複雑に絡み合って「結果的に止まる」こともあるのだそうです。

そして今回、中島氏が問題ではないかと考えたこのスイッチ、良く見ると金属の破片や油などの「ゴミ」が付着していました。これを掃除しただけでも「止まる原因」を取り除いたことになるかもしれない、とのことです。

 

 

動作確認をお客様とともに

今回お邪魔した「三和製作所」さまは、10台以上の大型工作機械があるような工場です。ご兄弟で経営されていますが、もちろん、他にも職人さんがたくさんいらっしゃいます。

今回はこの機械をよく使用されているという、弟さんの方に機械の動作確認をお願いしました。

<お客様とともに動作確認中>

 

実際に私もそばで見せていただきましたが…やっぱり「止まる」ことなく動いています。

10分ほどすぐそばで見せていただきましたが、1つずつが小さいからなのか、1分足らずで加工されたものが次々と出てきます。

 

<NC旋盤での加工が終わって排出される完成品>

 

うーん、確かに問題なく動いているように見えます。

ちなみに、昨日修理したのはこちら。

<NC旋盤本体の裏側にあるポンプ>

 

今回は「止まる」という症状が見られなくなったので、ひとまずはこのまま様子をみていただくことになりました。

 

 

今回のお客様はこんなところ

<有限会社 三和製作所>

〒341-0037 埼玉県三郷市高州3丁目26-4

TEL:048-948-2981

三和製作所様は、精密金属加工を得意とされる工場です。ここでつくられた製品は、自動車や産業ロボットなどのほか、医療機器の中にも使われています。大型の加工機械が10台以上ありますが、中には「自分たちで考案してメーカーに作ってもらった機械」もあります。メーカーの本拠地である石川県まで何度も出向き、つくり上げた機械なのだそうです。

今までは、機械の調子が悪くなるとメーカーにお願いしたり、簡単なところなら自分たちで何とかしたりしてきたんだよね。でも、中には「どこが悪いのか」が分からないものもあるので、連絡するとすぐに調べに来てくれるのは良いよね。今回初めてお願いしたけど、これからもどこか調子が悪くなったら相談しようかと思ってます。