そんなところに原因が!メタルソー切断機のセンサー修理

今回の修理は、村橋製作所のメタルソー切断機。中島氏によると、どうやら「リミットスイッチ」に問題があり(これは数日前に調査済)部品を調達できたので交換修理をするとのこと。さっそくカメラ片手に取材させていただきました。

 

 

今回のターゲットとご対面

 

今回の機械は、村橋製作所製のメタルソー切断機。実はこの「村橋製作所」という会社はすでに無いので、実際に機械に取り付けられていた「リミットスイッチ」と同じもの(市販品)を取り寄せていました。

工場の中はNC旋盤やマシニングなどが所せましと並んでいますが、社長曰く「長さが決まったネジを加工するときは、切断機で部材を一定の大きさに切りそろえておくと、加工時間が早い」とのこと。

というわけで、「早く直してよ」というご要望でした。

 

実際にターゲットとなる機械はこちら。村橋製作所製の「GREAT CAPTAIN」を改造したものです。

<リミットスイッチの交換を始めようとする中島氏>

 

 

リミットスイッチは交換したけれど

 

さて、今回の中島氏。リミットスイッチの交換はサクッと終わったようです。

<新旧2つのリミットスイッチ>

 

が、なぜか「ルーチン通りの動き」をしない、GREAT CAPTAIN。あれれ?ということでいろいろ調べてみることにしました。

 

中島氏によると、「GREAT CAPTAIN」は、切断する機構を持つ機械のことで、見た目は一体型に見えますが、実際にそこへ部材を送り込んでいる部分はあとから改造されたもの。そもそもこの機械を製造したメーカーもすでに無いですし、いつ誰が改造したかも分かりません。つまりこの機械への修理は、「いつも手探り」なのだそうです。

 

 

リレー方式?シーケンサー方式?

 

そもそもこの機械、部材を送り込む部分は「シーケンサー方式」という仕組みで電気制御されています。しかし10年ほど前までは、「リレー方式」という仕組みになっていたそうです。

中島氏は、現在の「シーケンサー方式」を見慣れているとのことですが、どうやら今回の修理は、この辺に問題があるのでは?とのこと。そこで中島氏は、機械と会話を始めました。

 

シーケンサー上の配線をいろいろ変えてみながら動作確認をくり返しますが、なかなか思うような組み合わせがありません。そもそも、誰でもが簡単に触れるものでも無いため、いつの間にか配線が変わるということも考えにくいようです。

 

…と、中島氏はあることに気付きました。

 

一応動くけど、決められた動きをしない?

 

先ほど交換した「リミットスイッチ」、このセンサー部分が取り付けられている部分に、もう一つの小さなセンサーのようなものがありました。しかし、「普通ならこの辺にある」というポイントから、少し位置がズレていたことに気付きました。

「もしかして、これ?」と、もう一つの小さなセンサーを数センチほどずらしてみました。

 

すると…なんと、本来の動きが!

 

問題はここかー!!

 

今回の修理は、「リミットスイッチ」も反応が悪くなっていましたので、新しいものに交換しました。さらにもう一つのセンサーの一がズレてしまっていたので、それを元通りの位置に固定するという、2段階の修理となりました。

では、なぜ「もう一つのセンサー」の一がズレていたのか。それは、お客様の方で「掃除したときにちょっとズレた?」ということだったようです。

しかし中島氏によると「これも、よくあること」なのだとか。

「そんな気は無いけど、ぶつけてしまって壊れた」とか「ちょっと振動を与えたら動かなくなった」ということは、こうした工作機械に限らず、日常でもよくありますよね。今回はこうしたことが原因で、「一応動くけど、くり返し同じ動作をしない」というものでした。

それでもお客様のご要望通り「以前と同じ動き」ができるようになりましたので、今回の修理は終了です。お疲れさまでした!

 

今回のお客様はこんなところ

<小林製作所>

この機械も結構古いからね。直ってくれたのは良かった。ウチにあるNCとかでも長い部材からの加工はできなくは無いけど、やっぱり時間がかかる。必要な長さに切断しておくと、加工もやりやすいし時間も断然違う。だから無いと困る機械なんだよね。

 

なぜ根元からバッキリと?面取旋盤のチャック爪交換

今回は、高松機械製メントリーの「チャック爪交換」です。機械全体の大きさはそれほど大きなものではありませんが、面取り加工を行う専用の旋盤です。チャック爪ってちょっと変わった形をしていますが、そもそも何のためにあるのかを聞きながら、修理に同行させてもらいました。

 

 

面取り旋盤だから「メントリー」

 

今回の修理は、ケーエスアイにとっても古くからのお客様、埼玉県松伏町の相原製作所様です。私実は、15年ほど前にもこちらの工場にお伺いしたことがあります。その時に社長さんにお会いしたのですが、第一印象が「大きい人だなぁ」だったということはナイショです。

 

修理の予定が決まったとき、中島氏からは「高松機械のメントリーのチャック爪交換」と聞いていました。

はて?「メントリー」という名称は初めて聞いたような気がする。試しにWebで検索してみると、ありました!

 

面取り旋盤 メントリー

 

…え?

うーん、「初めて聞いた人にも伝わりやすいネーミング」と言えなくもない?

機械の名称に若干の衝撃を受けながらお客様の工場に到着し、実際のメントリーと初めてのご対面。

<高松機械工業製 メントリー T850K>

 

今回は、機械の一番後ろの「チャック機構」にある「チャック爪」を交換するということです。

 

 

「チャック爪」とは、そもそも何をするものか

 

中島氏は早速、チャック機構を分解し始めます。

<チャック爪を取り外したところ>

 

チャック爪は2本で1セットなのですが、そもそもどのような働きをするものなのでしょうか。中島氏に聞いてみました。

 

 

 

 

<チャック爪からの力の伝わり方>

なるほど!この変わった形状には、そういう意味があったのか!

ふむふむ…と一人で分かった気になっている横で、中島氏は新しいチャック爪と交換していきます。

<新しいチャック爪を取り付けていく中島氏>

 

 

チャック爪は何故折れたのか

 

さて、取り外したチャック爪をみると、2本のうち1本が固定用のネジ穴の部分でバッキリと折れています。

その理由を中島氏に聞いてみました。理由はいくつかあるようですが、今回は以下の2つの理由が考えられるそうです。

 

まず1つは、経年変化によるもの。チャック爪の先端には、ぎゅーっと押し付けるような力がかかります。ちょうど、頭の上においた壺を下から持ち上げるようなものなので、どうしてもその根元には力がかかります。これをくり返すことで根元が脆くなっていたのかもしれません。

 

もう1つは、必要以上の力をチャック爪にかけてしまったこと。チャック爪は根元の穴に短い棒を通すような形で固定されていますので、必要以上に力を加えると、先端方向へ力が逃げなくなってしまい、根本にも圧力がかかってしまいます。もしかすると、チャック爪全体の中でもこの「穴」の部分は金属が少なくなっているため、折れてしまったのかもしれません。

 

そんな話をしているうちに社長さんが様子を見に来られたので、動作確認をしていただきました。

<中島氏と社長さんとで動作確認をしているところ>

 

今回の修理はこれで完了です。お疲れさまでした!

 

 

ついでと言ってはナンですが、工場の中を見学

 

修理を終えた中島氏は、さっさと次のお客様のところへ行ってしまったのですが、社長さんが工場の中を案内してくださいました。

工場の中には、NC旋盤が10台以上、ターレット式旋盤2台、6軸加工機などの大型機械、現在は使用されていない機械が数台など、たくさんの工作機械がずらりと並んでいます。

これまでにも「取材」という名目でいくつかの工場にうかがいましたが、初めてみたものがあります。これ ↓

<NC旋盤の中から自動的に切子を排出するコンベアー>

 

それから、かつて中島氏が「改造した」という、今井機械製のターレット旋盤もありました。これ ↓

<38型ターレット式旋盤の改造部分>

 

ここは元々こういう形の「ボタン」では無かったそうですが、より使いやすいようにと中島氏が設計して、改造したのだそうです。

へぇ、ウチはそんなこともできるのか。と、自社を見直した1日でした。

 

 

今回のお客様はこんなところ

<有限会社 相原製作所>

〒343-0115 埼玉県北葛飾郡松伏町大字上赤岩1683

TEL:048-991-8984

うちとケーエスアイさんは先代からの付き合いだから、結構長いよね。実際、ケーエスアイさん経由で導入した機械もありますし、中島君に改造してもらったものもあります。工作機械の修理は自分たちでやることもあるけど、中島君の拠点はウチからもそう遠くないから、何かあったときにすぐに来てくれるのは助かるかな。朝一番で来てくれると、もっと助かるけどね(笑)

 

 

NC旋盤 ポンプ取り付け台もグレードアップが必要です

今日の修理は、中村留製のNC旋盤 SC-200 のポンプ取り付け台の交換とポンプ位置の調整です。実はこの数日前、ポンプ自体も交換していました。今回はポンプを固定する「取り付け台」を交換します。

 

 

工場の奥深くに置かれたNC旋盤

 

NC旋盤自体を動かすポンプの下には、それを取りつけるための台となる部品があり、ポンプは新しいけどこの「台」の部品は古いまま、という状態。しかし交換したポンプがパワーアップしたものだったため、古い「台」では少しガタが来るとのこと。そこで新しいポンプに合わせた「台」を発注し、交換することになりました。

さて、実際に交換作業が必要なNC旋盤は…工場の一番奥のスペースにありました。

このNC旋盤、壁際に設置されており、すぐ横にはバーフィーダーも置かれているため、作業用のスペースがあまりありません。大丈夫なのか?

…そうだね。数日前に「ポンプ」自体を交換しているなら、大丈夫か。

というわけで、中島氏がNC旋盤の裏側に入り込む様子を激写。

<NC旋盤の裏側のスペースに入り込む中島氏>

 

 

 

今回交換するパーツはコレ

 

さて、実際にどこを交換するのか?と思いながら覗き込んでみると…

え?そこ?手が入るような場所なの?

<機械の裏側 交換する部分>

 

しかし機械の脇に胡坐をかいて座り込んだ中島氏は、サクサクと作業を進めていきます。

途中、いったん「旧」を取り外したところで、「新」と並べてみました。

<交換したポンプのサイズに合わせて少し大きくなった「取り付け台」>

 

キレイさ…はともかく、確かに少しですが大きさも違います。

でも、どうしてこれを交換することになったの?

というわけで、今度は新しい「台」のパーツを、ポンプの下に設置していきます。

しかし、中島氏の手元は狭くて暗い。作業用のライトの光を頼りに、パーツと床面とをネジで固定していきます。

 

<モーター下の「取り付け台」が新しくなったところ>

 

 

配電盤を開けて何するの?

 

さて、モーターのパーツ交換が終わったところで、中島氏は同じNC旋盤の配電盤の扉を開けて何やら作業を始めました。

<配電盤の扉を開けて作業を始める中島氏>

 

どうやら、この中にあるパーツを1点、交換する必要があるようです。

配電盤の中は初めてみましたが、すごい数のケーブル!!

さすがにここの写真は撮れませんでしたが、色とりどりのケーブルが無数に収まっています。どこに何がどうつながっているのか、私にはさっぱりわかりません。交換するパーツも、どこに埋まっているのやら。

しかし中島氏は、悩むことなく、正確に目的のパーツを取り外して交換していきました。

 

さて、今回の修理は中島氏だけかといえば、そうではありません。ちゃんと相馬氏も中島氏の助手として作業していました。ただ、裏側が狭くて入っていけないので、必然的に作業は中島氏がメインで進めた、という状況のようです。

<SC-200の前に立つ相馬氏>

 

今回のお客様はこんなところ

<有限会社 渡辺精工>

〒132-0025 東京都江戸川区松江1丁目11‐10

TEL:03-3654-2220

さまざまな精密機器部品を製作している工場で、製作したバルブ製品は医療機器、建設機械、電車や新幹線(内装)などに使用されています。

ケーエスアイさんとは、先代の頃からの長い付き合いかな。うちにあるNC旋盤たちは全部中村留製だし、これらを導入したのも全部ケーエスアイさん経由なんだよね。中島君はターレットやボール盤も修理やパーツ交換をしてくれるし、ちょっと調子が悪くなったらすぐに来てもらえるのは良いよね。近いからというのもあるけど、ウチがどんな加工をしているのかも分かっているから、お願いしやすいんだよね。