まだまだ現役!年季の入ったフライス盤のモーター交換

今回の修理は、フライス盤のモーター交換です。かなり年季の入った機械のため、銘板には「萩田鉄工所」という文字と「No.1 NEWS TOKYO」とあるのが分かるだけ。

しかし今回の問題は「モーター」であることが事前の中島氏の調査で分かっていました。そこで整備に出したモーターが戻ってきたので「取り付けするよ」ということで、お客様のところへ伺いました。

 

 

モーターの「巻き直し」って?

 

今回の修理、事前に中島氏からこう聞いていました。

モーターの『巻き直し』があがってきたから、取り付けに行くよー

 

は?巻き直し?って何それ?

 

と、頭の中でぐるぐるしたので、ちょっと調べてみました。

 

モーターの巻き直し:モーターの中にある「電磁波を発生させるコイル線」を巻き直すこと。

コイル線は長年使用しているとだんだん劣化し、漏電したりトルクが落ちたりするため、オーバーホールとして「コイル線を新しいもので巻き直す」ということが必要になるのだそうです。

最近はモーターの価格自体も下がってきているので、いっそのこと買い替えた方が安上がりのこともあります。しかし今回のお客様の機械は、同型、同サイズのモーターが入手できないため、「巻き直し」をすることになりました。

 

 

今回のターゲットはこちら

 

さて、私が(道に迷ったため少し遅れて)工場に着くと、すでに中島氏と相馬氏がモーターの取り付け作業に入っていました。

 

<生まれ変わったモーターを取り付けする出張修理人たち>

 

お客様に伺ったところ、この機械は「かなり年季が入っている」とのこと。少なくとも30年以上、もしかするともっと長く稼働している、働き者の機械だそうです。

 

 

モーター取り付け後の動作確認

 

機械全体の大きさからみると、かなり大きなモーターに見えます。しかもオーバーホールが終わっているので、ピカピカに磨き上げられており、これだけ新品のようです。すごくキレイ♪

モーターを取り付けてゴムベルト(3本)を装着したところで、動作確認を始めると…

動きは問題無さそうですが、動き始めるときに何やら「パチン!」という音がします。それほど大きな音でも無いのですが、やっぱり何だか気になる音がベルトカバーのあたりから聞こえてきます。

カバーを外すと、聞こえない。

でもカバーを付けると、動き始めに「パチン」という音。

 

中島氏は、取り付けた3本のゴムベルトを再度確認しました。すると1本だけ、ごくわずかですが他よりも長い気がします。取り付ける時には結構な力で引っ張りましたが、3本並んでいるところをよく見ると、1本だけごくわずかに「ゆるみ」があるように見えます。

 

さて、これはなぜでしょう。

お客様にうかがってみると、「そういえば1本だけ切れたから、それだけ別のところで購入した」とのこと。中島氏も、これで納得したようです。

「ゴムベルト」は同じサイズのものを購入しても、作っているメーカーや作った時期などによって、わずかに長さが違うことがあります。3本とも同じ製品で一緒に交換すると揃うので問題ありませんが、今回のように「1本だけ」が違う場合、どうしてもそこに負荷がかかってしまうので、一番最初に切れてしまう可能性があるそうです。

実際に音がしていたのも、コレ。モーターが動き始めるときに、わずかに長いゴムベルトに、モーターの動きに合わせた「たるみ」が生じてしまい、それがモーターカバーの内部に擦るようにぶつかっていることが原因のようです。

 

とはいえ、3本のうち1本が切れても機械の動作には大きな影響は無いそうなので「今度ゴムベルトが切れたときに考えましょう」ということになりました。

これで今回の修理は終了です。お疲れさまでした!

 

 

今回のお客様はこんなところ

 

<ヤマザキ製作所>

〒340-0217 埼玉県 久喜市鷲宮1-10-21

金属の精密加工を得意とされています。産業用ポンプの部品などを製造しています。

【お客様の声】

ウチはこれまで、別の修理屋さんにお願いしていましたが、そこが廃業してしまい困っていたんですよ。ちょっとしたことなら自分で直せるところもあるのですが、やっぱり慣れている人にお願いする方が確実ですしね。

今回はちょっと急ぎの仕事が入っていましたが、今日直していただいたので、間に合わせることができそうです。助かりました。