まだまだ現役!50年以上稼働している転造盤の配線修理

今回の修理は、作業自体はそれほど難しくは無かったのですが、原因が分かるまで少し時間を要しました。しかし、中島氏の「修理に対するマインド」を目の当たりにする結果となりました。

 

今日“修理”するのは、有限会社関根製作所が所有するツガミ製の5トン転造盤。

「タイマー仕掛けでくり返し動作する」という機構に問題があるようです。

 

転造盤とは何ぞや?

 

「今回は転造盤の修理」と聞いていたので、ちょっとだけ下調べをしてみました。

しかし「転造盤とは」でWeb検索しても、なかなか良い情報が出てきません。

そこで「転造」で調べてみると、Wikipedia にありました。

「転造法は塑性加工属する鍛造法であり、材料を回転させながら硬質の金型に押し付けることで形を形成するものである。」

引用 Wikipedia 転造 https://ja.wikipedia.org/wiki/%E8%BB%A2%E9%80%A0

 

 そういえば、会社の中に「転造ダイス」がいくつもあったけど、アレが「硬質の金型」なのか!

 

 

と、今回もやっぱり「少しだけ分かった」ような気になったところで、お客様の元へ。

 

タイマー仕掛けで動く転造盤

 

お客様の工場に着いたところで、まずは機械とご対面。

そうそう、コレ!この「転造ダイス」が、よく荷物として届きます。

<今回修理する転造盤を上から見たところ>

 

そうか、転造ダイスはこうやって使うものなのか!と、一人でふむふむと納得していると、中島氏がなにやら機械を分解し始めました。

今日は「設定した通りにくり返し動作する、という機構が上手く動かない」と聞いていたのですが、中島氏が分解しているのはタイマーのようです。

よく見ると、タイマーは2つあります。これを外して、裏側から通電しているかどうかをチェックしていきます。

 

<タイマー裏の配線をチェックする中島氏の手>

 

配線を組み替えたりしながらチェックしてみたところ、通電されない箇所があることが分かりました。

「タイマーの故障かもしれない」とのことで、お客様のところにあった新品のタイマーと交換してみることに。

元々の配線をメモに残しつつ、慎重かつ丁寧な作業を続けていきます。

 

<交換した新品のタイマー>

 

配線が終わり、タイマーを元の位置に戻して、転造盤を動かしてみます。

「ガチャン!」という音とともに、1回目は動作しましたが…あれ?2回目が動かない???

 

タイマーには問題なさそう、ではどこに問題が?

 

転造盤はそもそも、タイマーで設定したタイミングでくり返し動く工作機械です。

材料となるワークをセットし、1回あたり3秒程度の時間をかけて、転造ダイスを押し付けながら「ねじ山」を切っていきます。

これを自動的にくり返し行う仕組みが、タイマーと主軸を動かす電磁弁、そしてマグネットスイッチです。マグネットスイッチは、タイマーからの信号を主軸に伝えるための、交通整理をしています。

今回の修理、タイマーの方に問題が無いとなると、どうやら原因はこのマグネットスイッチにあったようです。

 

そこで中島氏は、機械の横側からマグネットスイッチを点検することにしました。

…その前に、機械の脇に積まれていたたくさんの転造ダイスを動かす、という作業が発生したのですが。

 

<タイマーを戻しながら転造ダイスの山を見つめる中島氏>

 

原因解明!マグネットスイッチへの配線の“断線”

 

中島氏は、機械脇に積まれた転造ダイスを動かしつつ、「すいません、新聞紙たくさんください」と、お客様へ声をかけました。

新聞紙???何をするの???

と、頭の中にクエスチョンマークがいっぱいになった状態で見ていると、中島氏は新聞紙を床に敷き、そのまま機械の横に潜り込んでいきました。

<床に新聞紙を敷き、その上に寝転がりながら機械の横に入り込む中島氏>

 

どうやらこの転造盤、機械の横にメンテナンス用の窓があり、そこからマグネットスイッチに到達できるようです。

機械の脇に潜り込んだ状態でチェックしてみると、タイマーからマグネットスイッチにつながっていたケーブルが、断線していたことが分かりました。

 

マグネットスイッチは1日に何百回も動作しますから、振動によりケーブルの接続部分に緩みが生じることがあるそうです。

今回の不具合の原因となった、マグネットスイッチに接続するU字端子をケーブルにつなぎ直すことで、今回の修理は終了です。

 

今回のお客様はこんなところ

 

<有限会社 関根製作所>

〒124-0014 東京都葛飾区東四つ木4-19-4

TEL:03-3691-4342

 

【お客様の声】

ケーエスアイさんとは長い付き合いなんだよね。まだ社長が一人でやってた頃から知っていて、機械をばらして組み立てたこともあったよね。ケーエスアイさんから依頼されて、既製品には無い部品を作ったこともあるかな。

うちにある機械はみなそれなりに年季が入った機械だから、メーカーが無かったり、あっても修理してくれなかったりする。機械が動かなくなるのはすごく困るけど、中島君が修理をするようになってから、ちょっとしたことでもすぐに来て調べてくれるようになった。おかげでかなり助かってます。