機械の動作が止まる――。これは、工作機械を使って製品をつくる側にとって、業務が止まってしまうことを意味します。だからこそ中島氏のような「出張修理人」があちこちの工場を回って、「止まる」原因を調べたり、機械を調整したり、部品交換などの「修理」をしたりすることになります。
しかし、実際に工場に伺うと、「止まる」という症状が無くなってしまうケースも多々あります。今回はそんなケースです。
今日もNC旋盤の裏側での作業です
実はこの前日、中島氏は同じ機械に対し、別の修理(ポンプの交換)を行っていました。今日はそことは別の部分を修理する予定です。
今日の機械は中村留のTMC-20。製造年月が昭和63年4月となっていますので、30年以上現役で活躍している機械のようです。
そして、今日も「機械の裏側」をじっくりと見せていただくことができました。しかし…表から見ても複雑ですが、裏側ってホントに何がどうしてどうなっているのか、私にはまったく分かりません。
<修理対象の機械を裏側からみたところ>
この黄色い点線で囲った中に、今回修理するパーツが含まれているようです。
ターゲットは近接スイッチ
さて今回の中島氏、ターゲットとなる近接スイッチを見つけ出し、その周りにエアーを吹きかけながらキレイにしていきます。そして見つかった近接スイッチを、「コレだよ」とみせてくれました。
<今回のターゲット 近接スイッチ>
しかし、これを交換するのかといえばそうでもなく、どうやらゴミや水を吹き飛ばして、動作確認をするようです。…何で?
…と思ったけれども、実際には「よくあること」らしい。
そもそも「動作が止まった」状況を正確に再現することは難しいですし、「止まる」原因もたくさんあるため、いくつかの原因が複雑に絡み合って「結果的に止まる」こともあるのだそうです。
そして今回、中島氏が問題ではないかと考えたこのスイッチ、良く見ると金属の破片や油などの「ゴミ」が付着していました。これを掃除しただけでも「止まる原因」を取り除いたことになるかもしれない、とのことです。
動作確認をお客様とともに
今回お邪魔した「三和製作所」さまは、10台以上の大型工作機械があるような工場です。ご兄弟で経営されていますが、もちろん、他にも職人さんがたくさんいらっしゃいます。
今回はこの機械をよく使用されているという、弟さんの方に機械の動作確認をお願いしました。
<お客様とともに動作確認中>
実際に私もそばで見せていただきましたが…やっぱり「止まる」ことなく動いています。
10分ほどすぐそばで見せていただきましたが、1つずつが小さいからなのか、1分足らずで加工されたものが次々と出てきます。
<NC旋盤での加工が終わって排出される完成品>
うーん、確かに問題なく動いているように見えます。
ちなみに、昨日修理したのはこちら。
<NC旋盤本体の裏側にあるポンプ>
今回は「止まる」という症状が見られなくなったので、ひとまずはこのまま様子をみていただくことになりました。
今回のお客様はこんなところ
<有限会社 三和製作所>
〒341-0037 埼玉県三郷市高州3丁目26-4
TEL:048-948-2981
三和製作所様は、精密金属加工を得意とされる工場です。ここでつくられた製品は、自動車や産業ロボットなどのほか、医療機器の中にも使われています。大型の加工機械が10台以上ありますが、中には「自分たちで考案してメーカーに作ってもらった機械」もあります。メーカーの本拠地である石川県まで何度も出向き、つくり上げた機械なのだそうです。
今までは、機械の調子が悪くなるとメーカーにお願いしたり、簡単なところなら自分たちで何とかしたりしてきたんだよね。でも、中には「どこが悪いのか」が分からないものもあるので、連絡するとすぐに調べに来てくれるのは良いよね。今回初めてお願いしたけど、これからもどこか調子が悪くなったら相談しようかと思ってます。