今日の修理は、「油圧式コンプレッサー CLP37B-8.5D」です。
しかしよくよく聞いてみると、実は2日前の土曜日、中島氏は
「コンプレッサーが止まった!」
という連絡をいただき、点検と修理(応急処置だけど)にうかがっていたらしい。今日は「実際にどこが悪いのか」を確認しにいくとのことなので、同行させてもらうことにしました。
油圧式コンプレッサーは工場全部の工作機械につながっている?
さて、事前に修理する機械について少しだけ話を聞いていたのですが、油圧式…は何となく分かるけど(油圧式で上下するイスとかあるし…)、はて「コンプレッサー」とは?圧縮する何か、であるとは思うけれど…
ためしに、Wikipediaで「圧縮機」を検索してみました。
圧縮機(あっしゅくき)とは羽根車若しくはロータの回転運動又はピストンの往復運動によって気体を圧送する機械のことである。コンプレッサーともいう。
引用:Wikipediaより
と考えているうちにお客様の工場に着いたので、コンプレッサーとご対面。
<コンプレッサーと、その脇でメーカーの資料を確認する中島氏>
工場の入口を入ってすぐのところにあるこの機械が、コンプレッサーだそうです。中島氏と相馬氏が先に到着していたので、すでにフロントカバーが外されており、中をじっくり見ることができました。
これまでもいくつかのお客様の工場にうかがいましたが、工場の中にはらせん状のチューブの先に、ハンディ式のエアガンのようなものが繋がっており、そこから勢いよく空気が出てきます。今回の修理は、このエアガンから出てくる「圧縮空気」をつくり出す機械、ということは分かりました。
何故止まったの?原因を確認する
実はこのお客様、土曜日も作業をされている中で急にコンプレッサーが止まってしまい、他の工作機械も動かなくなってしまったとのこと。お客様から電話をいただいた中島氏は、すぐにこの機械を点検にきています。しかしその時は、「これが動かないと、つながっている工作機械が全部動かない」という状態だったため、応急処置として配線をつなぎ変えていました。
<配線の模式図>
土曜日に中島氏が調べたところ、どうやら電源から基板を通ってくる電気が、マグネットスイッチや圧力スイッチまで届いていなかった模様。さらに時間をかけて調べれば原因を突き止めることができたかもしれませんが、お客様として「他の機械が動かない」ことが一番困っていることでした。
そのため、電源から基板を通さず、直接マグネットスイッチを経由し、圧力スイッチへと通電するようにしていました。
と、ここで1つ疑問が。
そうなのか!それは確かに困る!
コンプレッサーからの圧縮空気が通る配管をたどってみると、NC旋盤やバーフィーダーなどにつながっています。ということは、これらの工作機械が動かなくなってしまうということになるので、「とりあえずの応急処置」がどうしても必要だったわけです。
工場の隅っこに置かれているコンプレッサー。実は工作機械の大半を稼働させる、縁の下の力持ち的な機械だったということが、私にもよく分かりました(エアガンの親玉とか言ってしまい、申し訳ない…)。
そして中島氏がもう一度すべての配線をたどりながら通電しているかどうかをチェックしたところ、ケーブルには問題無さそうですが…なぜか基板は2枚あります。
<メーカーのWebサイトを見ながら、基板をチェックする中島氏>
中島氏は、メーカーに電話で問い合わせたりしながらチェックしていきますが、やはり問題は「基板」にあったようです。しかし、基板となるとさすがに予備はありませんので、取り寄せをすることになります。
というわけで、今日の修理(というより点検)はここでおしまいです。とりあえずの応急処置ではありますが、コンプレッサーとしての役割は果たせるようになりましたので、工作機械たちは稼働できるようになりました。
<基板の型番をチェックする中島氏>
しっかりと修理を完了させるためには、注文した基盤が届いてからの「リベンジ」が必要、ということになりました。
今回のお客様はこんなところ
<長田螺子製作所>
〒131-0041 東京都墨田区八広6丁目36−8
TEL:03-3612-6455
先代の頃から螺子を作り続けて50年以上、さまざまな形状の螺子の製造から二次加工まで、あらゆる「螺子」に対応しています。
【お客様の声】
ケーエスアイは、先代の社長のときから付き合いがあって。NC旋盤を購入したり、修理してもらったり。
今の社長になってしばらくしてから、「工作機械の修理」を始めたんじゃないかな。ウチにはいくつかの工作機械があるけど、何かあったらすぐ来てくれるのは助かるよね。ウチにある古い機械ですでにメーカーが辞めてしまったものもあるので、中島さんと相談して自分で部品を作って修理、ということもあります。