オイルの流れが悪い――。
この症状が出始めたのは、3月の初め頃。
出張修理人の中島氏が、一度様子を見て調整はしたものの、やはり根本的解決にはならず。交換用部品を手配してからの修理となりました。
作業のメインは、バルブの交換
今回の修理は、ミヤノ社製のNC旋盤、BMC-75Ⅱです。
かなり年季の入った機械には、「DATE S.59.9」と書かれています。ということは、昭和59年から稼働していることになるので、すでに稼働し始めてから35年以上が経過した機械です。
NC旋盤などの工作機械には、構造上いろいろな部分にオイルの回路が張り巡らされていますが、パイプの繋ぎ目などには、専用の(プロパーユニット)が使用されています。
今回は、機械が完全に止まってしまったわけではありませんが、このオイルの回路のどこかに不具合が生じ、オイルの流れが非常に悪くなったとのこと。まずはオイル回路を正常に近づけ、きちんとオイルを流すことができるようにする必要があります。
BMC-75Ⅱのオイル送りの回路上にはいくつかのバルブが使われており、今回中島氏が手配したのは、金ぴかに輝く小さなバルブが8個。
BNC-75Ⅱを慎重に分解しながら、詰まってしまったであろうバルブと、新しいバルブとを交換していきます。
<機械内部を慎重に分解する中島氏>
実際に修理してみると…
バルブの交換が5個終わったところで、オイル回路をテストしてみると、パイプの先から、オイルがゆっくりと流れてくるようになりました。
…しかし、バルブはあと3個。これはどこに???
中島氏がパイプをたどってみると…
キリコとオイルに埋もれたバルブが出てきました。
<埋まってしまったバルブ>
ちょっと狭いところだったので、中島氏は腕を伸ばしながら慎重に分解していきます。
ここからは、I型のバルブと、L型のコネクタを外し、L型のコネクタは中をエアーで飛ばしてキレイに掃除します。そして取り外したI型のバルブを交換しました。これで、6個のバルブ交換が終わりました。
<バルブ交換箇所の全景>
再び、オイル回路の流れをテスト。「スライド」の部分までじんわりとオイルが流れてくることを確認して、修理完了です。
取り外した6個のバルブを並べてみると…
<取り外されたバルブたち>
一番右のものが、最後に交換したバルブ。スライドまでオイルを届ける、大事な役割を担うバルブです。
でもその中は、古くなったオイルのカスで目詰まりを起こしていました。これでは、スライドまでオイルを流すことはできませんよね💦
さらなる修理の予感!?
ところで、中島氏が修理をしている途中で、芹沢製作所の社員の方から
「中島さーん!」
との声が。どうやら別の自動旋盤も、調子が今一つの様子です。
BMC-75Ⅱの修理と後片付けが完了後、中島氏は自前の工具箱をもって移動しました。
今度の自動旋盤は、中村留(中村留精密工業株式会社)製の TMC-12です。機械を操作する社員の方と相談した結果、こちらも後日、修理することになりました。
稼働中の工作機械を止めることは、お客様の工場にとって
「極力、やってほしくないこと」
です。実際、今回のTMC-12も稼働中でしたし、複数の工作機械を所有しているとはいえ、1台の稼働が止まってしまうとその製品の製造工程が止まってしまうことになります。金属加工業者にとって、これは大きな問題です。
そんなとき中島氏は、部品手配を迅速にするのはもちろんですが、「ちょっとした使い方のアドバイス」をすることもあるそうです。
<中島氏からの「ちょっとしたアドバイス」を試す社員さん>
今回はどうやら、TMC-12の動作設定を少し変更(調整)することで、数日間を乗り越えることにした模様。部品の手配が出来次第、再び修理に訪れることになりそうです。
今回のお客様はこんなところ
<有限会社 芹沢製作所>
〒124-0023 東京都葛飾区東新小岩4-4-5
TEL:03-3691-4865
精密部品、産業機械部品の切削加工を行う金属加工業者で、高精度バルブや継ぎ手など、機械(流量計や化学装置、冷凍機など)の内部パーツの加工を得意としている工場です。
【お客様の声】
自動旋盤などの工作機械が何台もあると、どれかの機械が不調になることはよくあります。メーカーに修理を依頼しても、すぐに対応していただくのは難しいのですが、KSIさんはうちからも近いですし、フットワークも軽いのですぐ来てくれるのがとてもありがたい。
修理も丁寧だし、ちょっとした調整もしてくれます。中島さんはすごいですよ。