ある日、中島氏から「汎用旋盤のバラシが入ったよ」と連絡が。
えーと、「バラシ」って何?
今回の修理は、中島氏いわく、「切削ができなくなった理由が分からないらしいから、「バラシ」て、どこが悪いのか原因を探るしかないかなとのこと。
つまり、機械をバラす=分解をするから、「バラシ」と呼んでいるらしい。汎用旋盤を分解して、状況をチェックしようというわけです。
でも一方で、「もしかすると、『キー』と『キー溝』の辺りが問題ってこともあり得るよねー」と、中島氏と社長は事前に分析をしていました。
修理当日~まずは「故障」の状態をチェック!
修理当日の午前中、私も機械とご対面!お客様によると、この機械は40年以上稼働している「頼れる相棒」とのこと。
ここのお客様は、部品の劣化などにより工作機械の調子が悪くなったときでも、ある程度は自分たちの手で部品を作って不具合を解消してきた人たちでした。
しかし今回の場合、故障の原因が分からないということで、修理をご依頼いただいたわけです。
到着後、先方から「多分、ギアのあたりだと思うんだよねー」とお話があり、中島氏は「ギアボックス」の中を調べてみることにしました。
<機械をバラし始める中島氏>
<ピカピカの「ギア」たち>
修理箇所はここだ!
しかしながら「ギアボックス」を開けてみて調べてみても、中島氏は「うーん?」と、うなっている。どうやらここに問題があるわけではないらしい。では一体、どこに原因があるのか……?
中島氏は、機械を動かしながら、原因を探ることにしました。
いろいろ見ているうちに、中島氏は「あれ?ちょっとブーリ―の動きがおかしくない?」ということに気付いた様子。
<機械と会話する中島氏>
プーリーを動かす「ゴムベルト」を外して、プーリーを念入りにチェックしたところ、なんと!なんと!キーが無かったのです。キー溝にはまるキーが、いつの間にか抜け落ちていたようです。
キーはそもそも消耗品なので、削れて小さくなっていくこともありますが、今回はそれが「無くなっていたこと」が原因だったようです。
中島氏と社長の読みが当たりました!
なんと!お客様に「キー」を作っていただいく
本来ならキー溝に合うキーを取り寄せするところですが、お客様の工場内に「キーになる材料」があったこともあり、お客様自身で「キーそのもの」を作っていただくことになりました。慣れた手つきで、あっという間にキーが出来上がりました。さすが、職人さんです。
<「キー」を作っているお客様>
中島氏は出来上がったキーを、キー溝に埋めてみました。
ちなみにキー溝とは、プーリーの軸に空いている溝のことです。
そして、試運転。動きますように。
先ほどキーを作ってくれた工場の社員さんが試運転した結果、正常に機械が作動しました。パチパチパチ!
<修理後の試運転>
「汎用旋盤のバラシ」の予定でしたが、少しだけバラしたところで故障の原因が見つかり、お客様との共同作業により、そのまま修理まで進むことができました。
今回も、お疲れさまでした!
今回のお客様はこんなところ
<村山機械製作所>
〒275-0024 千葉県習志野市茜浜1-11-11
TEL:047-451-1262
主に建設機械の部品や特殊車両(トラックの後ろが上がる車)の部品などの製造を行っている。
【お客様の声】
今までは故障の原因が分かれば自分たちで部品を作ったりして直してきたんだけど、今回はどうにもこうにも原因が分からなかったんだよね。それで以前送ってくれてたDMをみて修理をお願いした次第で。すでにいくつかの受注も抱えていたし、直らなかったどうしようと思っていたのだけど、ひとまず動くようになってホッとしました。